第 1巻 「豆腐と水」 (全1/9話)

新入社員教習を経て二日前から文化部に配属になった栗田は、早く職場に打ちとけられるようにと誰よりも早く出社した。憧れの東西新聞社で早く記事を書かせてもらえるようにと張り切っていたのだ。そこへ朝から酒くさい山岡と出会い唖然とする。新入社員の栗田は女性社員ということもあり男子社員から雑用を言いつけられるので、自分の才能が発揮できる仕事を与えて欲しいと不満をもらす。その側で、文化部の厄介物で社内で変わり者と言われている山岡は、全くやる気がなさそうに居眠りをしている。その姿を見た栗田は、同じ新聞社にあんなグータラな人がいるなんて新聞社とはこんなものかと、拍子抜けする。

業務命令で料亭「白扇」で昼食会が開かれる事になり料亭に全員集合した。山岡は一人遅れてきた。そして遅れたのは「クソしてた」からと言い全く反省のいろが見えない。そんな大原に栗田は益々無神経な人だと飽きれる。全員揃うと谷村部長は、大原社主の特別命令で、創立百周年を迎える記念企画の作成に参加できる鋭敏な味覚の持ち主を、文化部の中から選ぶための試験を行うと告げた。

目の前にＡＢＣと書かれた３種類の水と、イロハと書かれた３種類の豆腐が置かれた。用意された水はそれぞれ水道の水、お店の井戸水、丹沢の鉱泉水で、豆腐はそれぞれスーパーの豆腐、上野で有名な豆腐、京都で有名な豆腐だと言う。味見をしてそれぞれの物が何かを正確に見分けるテストが始まった。

皆の回答が外れている中、新米の栗田と山岡二人だけが正解し合格した。水の違いについて栗田は井戸水には塩分が混じっているような風味を感じたと説く。山岡も豆腐の違いを説明するようにと谷村部長に言われるが、「そこに書いたとおり」と突っぱねた。しかし部長ににらまれしぶしぶと話し始めた。

豆腐は作ってすぐに食べなければ風味が落ちてしまう。京都の豆腐の方が距離が遠いからほんのわずか風味が落ちているのだ説くと、栗田や他の社員はあの無神経な山岡が？と驚く。しかし谷村部長だけは腕を組み「やはり大したものだ」と納得する。そこへ大原社主が部屋に入りその企画は「究極のメニュー」作りという企画だと告げる。そして試験に合格したグータラ山岡と新人栗田二人が「究極のメニュー」作りに挑む事になった。

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美味しんぼとは？

『美味しんぼ』（おいしんぼ）は、雁屋哲原作、花咲アキラ作画による、「食」をテーマとした漫画作品。1983年から小学館「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中。ただし取材のため長期休載することがあり、2000年頃からは、一年のうち半分近く休むことも多い。1987年、第32回小学館漫画賞青年一般部門受賞。

単行本はビッグコミックスより刊行され、単行本の売上は2003年に累計1億冊を突破した。文庫版、愛蔵版、テーマ毎に再編集した総集編、関連書籍（「美味しんぼ塾」「美味しんぼの料理本」など）も刊行されている。1巻から60巻までの分はネット配信（有料）もされていたが、配信していたサイト「ライコスジャパン」が日本から撤退したため終了となった。台湾では東立出版社が小学館から正式認可を受けた繁体字中国語版の単行本が『美味大挑戦』というタイトルで50巻まで刊行されている（2008年6月現在）。

アニメ、ゲーム、テレビドラマ、映画化もされた。

「ビッグコミックスピリッツ」2008年5月26日号にて、作者や関係者の話し合いにより連載開始から25年間続いた親子の確執を和解させ、物語を一区切りさせた。